#SS
吸い上げた地球の情報によりよくわからんノイズが神の演算に混ざりこんだせいで、聴聞機の召集から間をおかずにサハスララで開催されるトライブリーダー握手会……から始まるサフバロ(導入)

建前は新たに生成されたニュービーたちへの自トライブアピールということになっていた
サハスララに会場が設えられるのは、トライブ同士の戦闘を禁じるためだ
聴聞機の召集からさほど間をおかずに教会から通達があっても、バロン・オメガは重い腰をなかなか上げなかった
そんなばかばかしい真似をせずとも、目下最大勢力を誇るブルーティッシュのもとには力のあるニュービーが自然と集まってくるというのが言い分だ
風の噂によれば、スワディスターナを支配下においたばかりのエンブリオンのリーダーが握手会の開催を積極的に援助しているらしい
くだらん、とバロン・オメガは吐き捨てる
そうまでしなければ人が集まらんのだろう、と説得に来た部下を下がらせようとしたタイミングで、教会から追加の通達が入ったことを端末が告げた
いわく、当日リーダーが会場に現れなかったトライブには戦績ポイントを没収する罰則規定を設ける云々
送られてきた資料に記載された桁数に目を落として、バロン・オメガは苦々しく歯噛みする
こんな真似をされては、現在競り合っているハウンズとの間に無視できないほどの差が開きかねない――

そして、当日
ほうほうのていでどうにかリーダーを会場に押し込んだブルーティッシュ構成員たちを、さらなる災厄が待ち受けていた……

「どうして自分の会場から出てきた、エンブリオンのリーダー」
「他のリーダーの握手会に参加してはいけないというルールはなかったはずだ」
「いやいや、なに当然の顔して会場に入ろうとしてるんだ。だめだって、頼むから止めろ! おいお前らなにしてる、こいつを会場に通すな! 俺たち全員大佐に殺されるぞ!」
「通してもらおうか。これが事前予約分のチケットだ。それから、当日券はあるだけ貰おう」
「待て待て枚数が多すぎる! こんな真似が許されるか」
「一人が購入可能な枚数に制限はない。そうだろう」
「なんの嫌がらせだ! どうして教会はこんなルールに……あ……ッ、ま、まさかお前……!」
「さあ、当日券を頼む。全部で何枚になるか…この時間分は、俺があの男を独り占めできるということでいいんだろう? 細切れにせず、なるべくまとまった時間で相手してもらいたいな」
「知らないのかもしれないが、大佐はお前のことを――」
「ああ、まさにそこが知りたいんだ。この機会を逃したら、落ち着いて話すことなんてできないだろ。あんな目で見つめられたのは初めての経験なんだ」
(大佐、いろいろとだめですこいつ――――!!)
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